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星読み師と牡牛の迷宮【★★★★】 H.680

えるえる 2016年03月20日(日)23時

今回の主人公は、とある大陸で讃えられる、有名な星読み師です。彼女はたくさんの人々から信頼されていましたが、一方、彼女を疎む人々も少なくありませんでした。
彼女は彼女を疎んだ人々の罠にはめられ、巨大な牡牛の怪物が棲むという大迷宮に閉じ込められてしまいます。彼女は無事、迷宮を脱出し生還することができるのでしょうか…。


大陸:ミラ大陸  場所 ディーンジト近郊の丘 牡牛の迷宮

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…ふと、アルテナは目を覚ました。ベッドに入った記憶はない。視界は真っ暗だ。
…ここは…どこなのでしょうか。
真っ暗で、なにも見えない…。寒い…。
手探りで地面を触ってみると、カラン、という音を立てて、なにかが転がる。
持ち手のようなところがあったので、なんとなくそれはカンテラのようなものであることがわかった。
持ち上げてみると、それは自動で光を放つ。予想通り、カンテラだったようだ。見たところ、光の元素を応用したカンテラ。これならば、炎がなくとも光が切れることはない…。

辺りを照らして見ると、自分の前方以外は壁で覆われ、壁にはなにか意味ありげな模様が刻まれている。見たことのない場所。これは世間一般で言うところの、ダンジョンというところでしょうか…。
空気が冷たい。足元は、白い霧のようなものが薄くだが浮いている…。
天上は高く、カンテラの光では照らし切ることができない。
一通りダンジョンの様子を観察すると、彼女の頭の中を、とある疑問が横切った。

……そもそも、どうして私、こんなところにいるのかしら……?
彼女は記憶を遡る。彼女、アルテナは、「ケミルロック」という街で星を読み、次にやってくる雨期を予測するという仕事をするという予定だったはずだった。だが、無事星を読み終え、その街の領主に結果を報告しに行こうというところで、とたんに記憶が途切れてしまっている…。一体なにがあったというのだろう…。

______ゴォォォ…

アルテナが考えていると、迷宮のむこうから低く唸っているような音が聞こえてくる。
初めは風の音かと思ったが、そのわりには空気の流れが殆ど感じない…。風鳴がなるほどの空気が入っているとは思えない…。
なら、この低く唸るような音の正体は一体……。

なにか危険な予感がする。
ここに来るまでのいきさつは後から考えるとしましょう…いま私がすべきは、星読み師としての生をここで終わらせないため、ここを生きて帰ること…。